「もうひとりのシェイクスピア」
自筆原稿や日記などが見つかっていないことや、法律や古典などの知識がなければ書けない作品があるが学歴からみて不自然であることから、たびたび語られるシェイクスピア別人説。
シェイクスピア別人説の一つ「シェイクスピア=フランシス・ベーコン説」に関してはアメリカのメンデンホールという物理学者がシェイクスピアの文章の40万語とベーコンの文章の20万語について比較分析を行った実験が計量文献学やテキストマイニングの事例としてよく挙げられます。
最近、統計学が最強の学問であるでこの事例を読んだばかりのところに、タイミングよく近くの映画館で放映されたので観に行ってきました。
この作品は別人説のひとつ、エドワード・ド・ヴィアー (第17代オックスフォード伯)説を主軸に、史実と虚構を織り交ぜて作成された策謀劇。
とにかく再現された16世紀イギリスの舞台装置や美術がすばらしかった。
ただ、史実をある程度元にしたためか、敵役として登場したはずのロバート・セシル卿に後半に進むにつれなんだか肩入れしてしまうという困ったことにw
エセックス伯も陥れられたというより自爆にしか見えない描かれ方で、たぶん製作側もそのことは感じていたじゃないかな?
終幕近くでセシルがベンにかける台詞はあきらかに敵役を超えたものだったし。
ともあれ、陰謀渦巻く宮廷劇が好きなかたには是非お勧め。