今年読んだ400冊の中から、お勧めの本を紹介します。
Kindle買った。
— 清水正行 (@_shimizu) December 1, 2012
Kindle Paperwhiteを購入したのが去年の12月1日なので、ちょうど一年ちょい経ちました。
この一年でKindleストアから購入した本の数が400冊。
平均すると、だいたい1日1冊購入してたってことになるらしいです。
「1-Clickで購入」ボタンは……ホント危険ですね。
まぁ、実際には青空文庫から配信されている短編小説なども結構入っているので、全てが購入した本ってわけではないのですが。あと、積読になっているものもあるので、ちゃんと読み終わったのは3分の2ぐらいかな?
とりあえず年末だし、せっかくなので今年購入した本のなかから、何冊かお勧めしてみようと思います。
(あくまで今年買った本で、今年発刊された本ではないのであしからず)
お勧め本
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ガレージから次のイノベーションが生まれる
コンピュータハッカーの第一世代が自宅のガレージで革新的な技術やソフトウェアを生み出したように、21世紀のバイオハッカーたちも自宅のガレージやキッチンで、オープンソースのDNAデータを使って生命言語の操作に乗り出している。
今年一番「燃えた」ノンフィクションです。「自宅のキッチンやガレージで行われる遺伝子操作」というフレーズだけで「それなんてSF」といった感じですが、個人的に一番感心したのはアメリカにおけるDIY(Do It Yourself)哲学の社会に与える影響力の強さでした。本書の中にでてくるバイオパンク宣言の一文に「我々に疑問がわずかでもあるなら、だれかに答えてもらうのをただぼんやりと待つことをしない。」という、DIY精神の全てを表すような文章がでてきますが、いちエンジニアとして「かくありたい」と思わずにはいられません。
「ロサンゼルスのダウンタウンに住む13歳の中学生にも、大学教授と同じように世界の探求をする権利があります。遺伝子を調べたい人にとってサーマルサイクラーが高すぎるというなら、私たちが安価なものを設計します。自分で組み立てたいという人には、組み立て方を教えます」
ここまで言い切ってしまえるのも、また凄い。
何はともあれ、「Gene Mapper -full build-」を読んで「最高にワクワクした!」という方にお勧めです。
TEDで行われたパーソナル・バイオテクノロジーのプレゼンを見て予習するのも良いかもしれません。
東北のとある地方都市を舞台に都市伝説めいた異常犯罪を主人公の女子高生マドカと騎士と名乗る女装した美少年の幽霊が解き明かしていくという、あらすじだけ聞くとファンタジックですが、本編はホラーな雰囲気が漂う短編連作ミステリです。根底に流れるテーマは「社会的弱者(マイノリティ)」で、軽妙な語り口ではあっても内容は結構、重い作品です。この作品の怖いところは、小説内に出てくる犯人達のような人間が、現実にも決して居ないとは言い切れないと感じられるところかもしれません。
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もはや、説明するまでもないヒット作品ですが、個人的に「時代小説熱」を取り戻すきっかけとなった本だったので。「時代小説ってのは武士やらサムライやら、ばっかりじゃなかったよな」という当たり前の事に気づかせてくれた1冊でした。
「和算」や「暦」といった表現し難いものを扱った小説ですが、そこはマルドゥック・スクランブルで「ブラックジャック」を見事な戦闘シーンとして描ききった冲方丁氏ですので、それはそれは素晴らしいものでした。この作品以来、自分の中でにわかに「和算」ブームが発生し、「算法少女」なども買ったりしてみたのですが、こちらの作品もお勧めです。
KDP
Kindle ダイレクト・パブリッシングで、出版されているものなかから。
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個人的に、今年は「日常の謎」系ミステリブームだったので、その系統の小説を買いまくった中の一冊です。KDPはどうしても、文章のクオリティなどにバラツキがあって、作品によっては非常に読み辛かったりするのですが、本書はその点文章がこなれていてリーダービリティーの高い作品でした。
人物造形などが、多少ライトノベルっぽさは否めないため、好き嫌いはあると思いますが、第二作目からはその辺の角もとれて深みを増しています。
基本的には「学園」を舞台にしたミステリで、作者さんが米澤穂信のファンであることらしいことも相まって古典部シリーズや小市民シリーズに似た感じと紹介されているのをよく見かけますが、個人的には物語の中に漂う「不安な気配」の手触りが文学少女シリーズに近いかな? と感じました。
まぁ、「○○に似ている」って評価としてまったく正しくないと思うのですが……分かり易いので。上記作品が好きな方にお勧めです。
電柱擬人化本です。
おもわず「何を言ってるのか わからねーと思うが」のコピペを張りたくなりますが、中身もまさにといったモノ。
基本的には擬人化された電柱のイラストとともに、電柱に関する雑学や豆知識などが語られるという内容で、なかなかに上級者向けの作品となっています。色んなフェティシズムが重なりあって複雑なグラデーションを描いている作品ですが、このニッチさがKDPらしいし、また日本的だなーと思ったので紹介してみました。電柱に詳しくなりたい方は是非。
総括
とりあえず、Kindleを購入して最も良かったことは「読書熱」が戻ってきたことでした。
学生の頃はわりと小説を読む方だったのですが、社会人になってからは、あまり読めなくなっていたので。
仕事柄、どうしても技術書を購入しなくてはならないことが多くて、それが結構な量なので、小説などを買ってしまうと物理的に置くスペースがなかったんですよね。
なので、購入するのにちょっと躊躇いがあり最近はほとんど小説を読むことが無くなっていたのですが、Kindleを買ってからはその辺考えなくて済むようになったので、久々に読書三昧を味わえました。(技術書は面白いけど、読書って感じではないですしね)
「読みたい」と思ったその時に1クリックで読み始められる幸せ……たまりません。
さらに、毎年年末の恒例作業となっていた「本の処分作業」を行わなくてもいいのは、精神衛生上も含めてとてもありがたいことでした。売るにしろ捨てるにしろ本の処分って結構な大仕事なんですよね、選別にも時間がかかるし。
あとは、電子書籍で出版される小説がもっと増えれば言うことなしなのですが。
そんなわけで、「そういえば、最近本読んでないなー」という方は、Kindleを購入してみてはいかがでしょうか。