「データビジュアライゼーション データ駆動型デザインガイド」レビュー

朝倉書店様よりご恵贈いただきました。

概要

データビジュアライゼーション ―データ駆動型デザインガイド― 

“Data Visualisation: A Handbook for Data Driven Design”第2版の翻訳。豊富な事例で学ぶ、批判的思考と合理的な意思決定による最適なデザイン。チャートの選択から配色・レイアウトまで、あらゆる決定に根拠を与える。可視化ツールに依存しない普遍的な理解のために! オールカラー。

第I部 基礎
1章 データ可視化の定義
2章 可視化デザインプロセス

第II部 背後の思考
3章 要綱を作成する
4章 データの処理
5章 編集的思考の確立

第III部 デザインソリューションの開発
6章 データ表現
7章 インタラクティブ機能
8章 注釈
9章 色
10章 構成

レビュー

本書は、visualisingdata.comの運営者であるアンディー・カーク(Andy Kirk)氏が出版された‘Data Visualisation: A Handbook for Data Driven Design’第二版の日本語版です。

約270ページに渡って、データビジュアライゼーションを行う上で必要な考え方、ワークフローの進め方、データの集め方やその検証しかた、ストーリテリングを行うために必要な編集作業のまとめかた、そして最終手的な表現手法の決定方法までをフォローした包括的なガイドブックになっています。

また、データビジュアライゼーションのコンサルタントとして多くのプロジェクトに関わってきた著者ならではの、組織的にデータ可視化プロジェクトを進めるために必要なノウハウや、関係者やチームメイトとのコミュニケーションのとり方といった実用的な内容も多数掲載されています。

データ可視化プロジェクトを企画し最終的に形としてアウトプットするまでの方法論について知りたい方におすすめです。(逆にこの本には具体的な実装方法や特定のBIツールなどソフトウェアの使用法などは掲載されていません)

かなりボリュームがあり理解するには何度も読み返す必要がありますが、データ可視化を行う上でより普遍的な知識や考え方を学びたい方はぜひ読んでみてください。

おすすめポイント

第II部「背後の思考」ではデータ可視化プロジェクトの準備段階で行うべきフローについて解説されています。

なんのために可視化を行うのかを明確にし、プロジェクトを進めて行く過程で目的がブレてしまうのを防ぐ「要綱を作成する」方法について、

「データの処理」では、実際にデータを入手し検査し分析して、データの中から背後に隠されている洞察を発見する方法について、

最後に「編集的思考の確立」では、データービジュアライゼーションの作成においてもっとも重要となる編集的思考について具体例を上げながら解説されています。

こういったノウハウは既存のデータビジュアライゼーションの参考書ではあまり語られて来なかった内容で、実際プロジェクトが頓挫しやすいのもこの辺です。

この 第II部を熟読し実践することで企画した可視化プロジェクトが頓挫する可能性はかなり減ることでしょう。この部だけも元がとれる内容だと言えるほどお勧めです。特に可視化プロジェクトを進めるプロジェクトリーダーにぜひ読んでいただきたい内容ですね。

また、本書にはデータビジュアライゼーションに携わる実務家からの多くのコメントが掲載されています。全てのコメントが示唆に富む内容なのですが、なかでも特に感銘を受けたコメントを引用して終わります。

私の助言は落胆するなということです。データが期待通りでないことや、利用可能な、あるいは比較可能な形式で入手出来ないことがあります。

(中略)

ビジネスにはならないかもしれないし、まったくストーリーにならないかもしれませんが、それでもOKです。

少なくともトピックスについて、データソースについてこの過程で新しいことを学んだはずです。あるいはデータセットで「ああ、そうか」という発見があり、今後のプロジェクトで使える教訓が得られからです。

Alyson Hurt ニュースグラフィックスエディター/NPR