電子書籍が普及しないのは図書館のせいじゃないよ。
図書館のせいにするのはあまりに勝手が過ぎるんじゃないでしょうかね。
『なれる!SE』という小説があります。
別名「SE残酷物語」
ライトノベルでありながらシステムエンジニアの過酷な日常を(多少盛っている部分は否めませんが)リアルに描画することで、一部業界人のトラウマを心地よく刺激した人気作品です。
一時期はKindleストアのラノベ・ベストセラーランキングを総なめにしたほどです。
Amazon・Kindleストアのライトノベル・ベストセラーを『なれる!SE』が席巻!&BLベストセラー
紙の本では、現在9巻まで発刊されているのですが、kindleストアには7巻までしかありません。
とくに8巻はすでに紙で発売されてから半年経とうしていますが、いまだにKindleストアに並びません。
2012年に発売された本ですら電子書籍化するのに半年もかかるのか……と天を仰ぎたくなりますが、実は角川の電子書籍プラットフォームBOOKWALKERでは8巻がすでに発売されていたりします。
「先行販売」という位置づけだそうですよ。
紙の売上を守るために電子書籍の発売を遅らせ、さらに自社プラットフォームの付加価値を高めるために他プラットフォームへの配信を遅らせているわけですね。
「それがビジネスってもんだ」と言われれば返す言葉もありませんが、その行為にどれほどの効果があるんでしょうか。
だったら、初めからKindleに配信しなきゃいいのに。
プラットフォームばかり乱立させて何がしたいのか。
まだまだ普及の進んでいない国内の電子書籍市場で、チマチマした足の引っ張り合いしながらどっちつかずで中途半端な態度ばかりとっているので、出版業界の電子書籍にたいする「やる気」がいまいち信用できないんですよ。
「本も雑誌も売れなくなってどんどん書店が減っていく中で新たな市場を作らなきゃならないことは分かっているんだけど、電子書籍が爆発的に普及しちゃって紙の書籍が売れなくなるとそれも困るしプラットフォームも独占したい、でもリスクは取りたくない……どうしよう?と思ってたらとうとうKindleが来ちゃった!」
という、腰も覚悟も座ってない感じを消費者に見透かされているんじゃないでしょうか。
【余談】
とりあず、本を買う側からしたら「買いたい本を、とっとと買えるようにしてくれ」というのが一番の願いです。
あと国内のプラットフォームはせめて2・3個に収束させて欲しいし、それができないなら主要なプラットフォームには同じタイミングでコンテンツを配信してほしいです。発売を遅らせるとかで消費者に不便を押し付けたところでプラットフォームを乗り換えさせる効果など期待できませんし、付加価値を付けたいなら独占販売にして「他では出しません」とちゃんと言ってほしいですね。