米政府をハックする「Code for America」
「Code for America」という団体があります。
自治体の行政機関に全米から応募してきたエンジニアやデザイナー、クリエイターなどを1年間送り込むというプロジェクトを行っている非営利団体です。
創立から5年程経ちましたが、この団体が今着々とアメリカの政府機関への影響力を高めているらしので、cfa創設者ジェニファー・パルカのプレゼンを見直してみました。
う〜ん、改めて見ても面白い。
「ITを活用して社会問題を解決しよう!」という組織や団体はcfa以前から沢山ありますしプロボノなども似た活動といってよいでしょう。
そんな中で、cfaが新しいのは行政機関というスーツ帝国の現場に天敵であるギークをぶち込んだところです。
ワイヤードのインタビュー記事でも書かれていますが、単に「行政機関のアプリ作ります」「システム作ります」というだけでなく、オープンソースコミュニティなどで培われてきた「みんなでハック(改良)する」という文化を行政機関の現場に持ち込んで決定のプロセスを変化させている、これこそがそれまでのITを絡めた社会活動やボランティア(プロボノ)などと大きく違うcfaの特徴です。
フェローは1年のプログラムを終えてしまえば去ってしまう。だからこそ重要なのはそこでつくられたアプリやソフトウェアそのものではないんだ、とミックは語る。「ぼくらが行政に与える最大のインパクトは、むしろプロセスを変えていくことだと思う。このやり方じゃなくてもいいんじゃない? ほかのやり方があるんじゃない?って新しい思考のプロセスをもたらすことが重要なんだ。」
制作物は、あくまで行政機関の変化を促すための武器なのでしょう、ジェニファー・パルカのプレゼンからもそういった意図がうかがえます。
カリフォルニア州裁判所のシステム開発では現段階で20億ドルの血税をかけながら、今だにまだ機能していません。
政府のどの階層にもこんなプロジェクトがあります。
一方、アプリは数日で書きあげられてバイラルに広がっていきます。これは政府機関に対する威嚇射撃のようなものです。
なんか本当に「ガバメント2.0」イケるんじゃないか? と思わせるだけの活動をしています。
ティム・オライリーが提唱している「ガバメント2.0」は、オープンソースコミュニティで開発・運用されているOSのように、政府をプラットフォーム化してしまおうという考えで、最近注目が集まっているオープンデータもオライリーがいうところの「ガバメントSDK(ソフトウェ開発キット)」の一つですが、cfaという団体の存在がアメリカにおけるオープンデータ促進に大きな影響をあたえているのは間違いありません。
もともとアメリカは「Do It Yourself!(自分たちでやろう!)」という精神にあふれたお国柄ですが、GoogleやAppleなど社会に大きな影響を持つIT企業やカリスマエンジニアが多数存在するためか、最近は「ギークの技を盗め!」という気運が高まっているようで、この追い風に乗って「Code for America」がどこまでアメリカ社会/政府を変えていくのか目が離せません。
何回リーダーを選んできたでしょうか? ― 新しい政治的リーダーを送りだすために多くのエネルギーを費やすことも間々あるのに ― 選挙が終わると落ち着いてしまって政府が私たちの価値観を反映し必要としていることを満たしてくれると期待しますがそれほどは変わってはいないのです。
(中略)
この世代は私たちがしてきたように、誰が主張すべきかについて争わず全員で主張するのです。 どんな経路でもどんな時でも個人の意見を主張することができまた主張します。 このため、この世代が政府の問題に直面したら主張する代表者を決める選挙のような手段はあまりあてにしません。 手を使うのです。 手を使って政府がよりよく機能するためのアプリを作るのです。
楽しみですね!